インド「ソン・デ・サロード」

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「サロードの音色」。サロードとは、シタールとともにその名を知られるヒンドゥスタン(インド北部で、パキスタンやバングラディシュを含む地域を指す)の古楽器です。サロードの音は、シタールの甘く、倍音かつ荘厳ともいえる響きに比べて、その共振して反響しあう性質をもつ共鳴弦から出る深く、重く、かつ内省的思考の感じられるものといえます。さらにメーンドとして知られる、インド音楽では重要とされ、音符と音符との間を連続してスライドさせる技法ができるよう、フレットのない楽器です。

ソン・デ・サロードの3人は、上質で平和な音楽を通じて幸せと平和を分かち合うことを目的に、5年間にわたって共に活動してきました。アヌパム・ジョーシはサロードのまだ見ぬ可能性を追求するため、インド古典音楽の旋法であるラーガをもとに表現し、アヌープ・ジョーシは、タブラに添えた電光石火の指先で奏でる一糸乱れぬテンポで、力強いベース音を生み出します。セイリ・クルカルニは演奏を通じて、その基礎となる強くうなるベース音を出すインドの楽器タンブーラを演奏します。

演奏時間は様々で、3分の曲からゆうに3時間を超えるものまであります。サロードはリードをとる楽器であり、タブラとタンブーラは伴奏するための楽器です。ラーガによって定義された音に対して非常にゆっくりとしたアラープという奏法で音を選ぶべく、彼の演奏はサロードの小さなソロから始まります。ラーガはそれぞれ非常に異なる雰囲気をもっていますが、その旋法いずれをとっても、全てインド古典音楽のルールによって厳しく決められています。サロードは少しずつ演奏のテンポを上げていき、やがてサロードとタブラは、与えられた刻み打ちのパターンの中から、音節の入れ替えや結合を繰り返しながら演奏を続けていきます。演奏のテンポは、いつも非常にゆっくりとしたものからとてつもなく速いものへと変化します。すべての演奏は即興でありますが、「作曲」をしているわけではありません。